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虹って何色?

全国的に梅雨入り宣言が出され、今年も折返し地点です。

2021年の夏はどうなる? いろんな意味で。

何事もなく過ごせるよう、私自身も心したいと思います。


今回は夏の季語「虹」の色についての小ネタを。

元ネタは奈良平安期の日本語研究専攻の息子との会話

 

一般には赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色といわれる虹。

ところがアメリカでは藍を除く6色、ドイツでは藍と紫を除く5色なんだとか。

逆に黄緑を加えた8色と見る部族もあれば、赤(明るい色)と黒(暗い色)の2色とするところも。

そして、古代日本の虹の色も「赤と青の2色」だったようです。


『すべての色彩を「青し」「赤し」「白し」「黒し」の四つに分節する日本人の基本的色彩感覚より見れば、七色の虹は結局「青し」と「赤し」の二色に過ぎない。』

  佐竹明広著 「古語雑談 二色の虹」より抜粋(平凡社ライブラリー.2008)


え? 「青・赤・白・黒」以外の色は存在しなかったの?見分けられなかったの!?

 いえいえ、そうではありません。「四色以外に表現(該当)する色名がなかった」だけ。

 

では他の色は?というと、植物や比喩として使われていました。

例えば「みどり」は草木の新芽、「むらさき」は紫草の色を表し、「黄」は漢語由来の言葉だったとか。

 

古代日本語では 赤~橙~黄は「赤」、緑~青~藍~紫は「青」 に分類されます。

だから「虹の色は赤と青の二色」となるわけです。

 

 

お馴染みの色相環なら、イエローベースの色は赤、ブルーベースの色は青


色の名前が四色だった時代もさまざまな植物が和歌に詠まれており、彩り豊かな世界が浮かんできますよね。

 

ーー紫陽花の八重咲くごとく八つ代にを いませ我が背子見つつ偲はむ(万葉集 橘諸兄 4448)

 

色を愛で楽しむ思いは現代の私たちと一緒なのだと思います。